特許編応用第2回です。
優先権(特に国内優先権)について、イラストで分かりやすく説明します。
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前回の続きともいえるテーマです。
「新規事項の追加」が禁止される中で、
改良発明などを思い付いた場合はどうなるのでしょうか。
あるものの製造方法に関する発明があったとします。
微量のチタン金属やジルコニウム金属を添加すると、製造効率が向上することが分かりました(発明A)。
そこで、それらの結果を実施例に記載し、
これらをまとめて「○○金属」と表現して特許請求の範囲に書き、出願しました(出願①)。
その後、微量のハフニウム金属を添加すると
さらに効率が上がることがわかりました(改良発明A´)。
そこで、改良発明A´についても権利を取得したいと考えました。
出願①に補正して、新たな実験結果を追加したらどうなるでしょうか(パターン1)。
また、出願①とは別に、発明A´のみを含む新たな
出願をしたらどうなるでしょうか(パターン2)。
発明Aは発表等で公開されているものとします。
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発明A´を補正して追加した場合(パターン1)、
新規事項の追加となって拒絶となります(応用第1回)。
新たな出願をした場合は(パターン2)、
新規性違反、進歩性違反(公知の発明と比べ、高度な発明とは言えない)として拒絶されます。
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では、改良発明A´について特許を取れないのでしょうか。
そんなことはありません。
発明とその改良発明について、包括的に特許を取得できるようにする制度があります。
それが優先権制度です(次ページ)。
先にした出願①から1年以内であれば、改良発明を含む出願②をすることが出来ます。
出願②は「優先権主張を伴う出願」と言われます。
出願①は一定期間後に取り下げられたものとみなされるため、出願②と衝突することもありません。
なお上記の例ですが、チタン金属、ジルコニウム金属についての先後願は出願①の時点で判断され、追加したハフニウム金属についての先後願は出願②の時点で判断されます。
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まとめです。
・優先権制度を用いることで、
改良発明についても特許を取得することが出来ます。
(ただし先の出願から1年以内に出願が必要)
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(応用第2回 了)
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