特許編第15回です。
WIPOが提供している統計について、イラストでわかりやすく説明します。
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第5章、国際関係です。
世界の特許動向を把握すべく、
世界知的所有権機関(World Intellectual Property Organization、通称WIPO)が公表している統計について見ていきます。
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世界的に特許出願数は伸びています。
2018年の特許出願数は330万件になります。
こちらは特許出願数の各国ごとの内訳ですが、
アメリカ、韓国、ヨーロッパが堅調な伸びを見せています。
また、中国の出願数が驚異的に伸びています。
一方、日本の出願数はここ10年ほど減少傾向にあります。
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特許出願数は、現在中国が世界1位です。
アメリカの出願数の2.5倍以上となっています。
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上記棒グラフのうち、
赤がその国の居住者、オレンジが非居住者の出願を表します。
棒グラフ中のオレンジ部分が多い国は、
その国の居住者よりも外国人からの出願が多いことを示してます。
ブラジル、メキシコ、シンガポール、インドネシア、タイなど、
積極的な投資等がなされていることが見て取れます。
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あまり見かけないグラフですが、
グラフの左側が出願元の国、
グラフの右側が出願先の国になります。
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左側の一番上の国は日本です。
左から右に向かっていくつかのバーが伸びています。
例えば一番上のバーは、日本から海外への出願のうち、半分程度が米国にされていることを示しています。
同様に、日本から海外への出願のうち、
1/7程度が欧州へ、1/4程度が中国にされていることが分かります。
一方で、グラフの右側からは、世界の人気出願先の1位がアメリカ、2位がヨーロッパ、3位が中国であることが分かります。
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次は損害賠償金額の話です。
直近10年における、日本の損賠賠償金額トップ10がこちらになります。
最大十数億円となっていますが、過去には74億円や30億円といった高額賠償が認められたこともあります。
直近10年における、中国の損賠賠償金額トップ10がこちらになります。
中国の出願数が日本の出願数を超えたのはここ10年の話ですが、
既に50億円をこえる損害賠償額が認定されています。
また、中国ではアメリカの3倍賠償制度の上を行く5倍賠償制度が導入されつつあり、
今後も損害賠償金額が上がっていくことが予想されます。
日本、中国の損害賠償金額は最高でも数十億円程度なのですが、
アメリカにおいては数千億円級であり、圧倒的であると言えます。
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ここまで、日中米の直近10年における損害賠償金額トップ10を見てきました。
中国の伸びや、アメリカで認定される損害賠償額の大きさがご理解頂けたかと思います。
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まとめです。
・中国の出願数が大きく伸びており、現在世界1位です。
・ブラジル、メキシコ、シンガポール等には、外国企業が積極的に出願しています。
・外国出願先の人気ベスト3は米国、欧州、中国です。
・特許権侵害による損害賠償金額は、米国が圧倒的です。
しかし、5倍賠償を導入する中国の動向にも注視すべきです。
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イラスト知財・特許編の基礎コースは以上になります。
特許制度を一通り知って頂けるよう、コンテンツを作って参りました。
・特許をビジネスに活かすためのヒント
・知財戦略を考えるきっかけ
となれば幸いです。
まだ至らぬ点は多々あると存じますが、今後もコンテンツの改良を重ねて参ります。
今後ともIPdash東京 特許事務所をよろしくお願い申し上げます。
IPdash東京特許事務所 代表
留場 恒光(弁理士)
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