弁理士が商標をわかりやすく解説-第17回(応用編第2回)「団体商標・地域団体商標」…団体商標と地域団体商標について、イラストでわかりやすく説明します。(IPdash東京 特許事務所/弁理士 留場恒光)

商標編第17回(応用編の第2回)です。
団体商標・地域団体商標について、イラストで分かりやすく説明します。

団体商標(商標法第7条)

団体商標の例を見ていきましょう。

商標権者に特徴があります。

団体商標の登録例です。宇都宮餃子会の「宇都宮餃子」ロゴ、京都府瓦工事協同組合のロゴ、社団法人富山県薬業連合会の「富山のくすり」などです。「富山のくすり」は商標法第3条2項の要件をクリアして登録となっています。所定の要件を満たす団体が出願し、登録を受けることができる商標です。

団体商標を出願できる主体は以下になります(主体的要件)。

「株式会社」はこの主体的要件を満たしません。

(参考)団体商標の主体となり得る日本尾法人:株式会社は団体商標の主体とはなりません。(商標審査便覧より)

地域団体商標(商標法第7条の2)

まず商標法第3条の復習です。

例えば「商品名+地域名」の商標は商標登録できませんでした。

商標法第3条の復習:その商品の産地、販売地等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標は商標登録を受けることができません。有田みかん、沖縄そば、松阪牛、知覧茶、豊橋筆… これらは商標権が取れないってことになるのでしょうか。

「商品名+地域名」の商標であっても、以下の要件を満たす場合は、地域団体商標の商標登録が可能です。

地域団体商標制度:「所定の団体」×「団体の構成員が使用」×「商標が1.地域の名称+普通名称(例:○○みかん)、2.地域の名称+慣用名称(例:○○織、○○焼)、3.地域の名称+普通・慣用名称+慣用文字(例:本場○○焼)」×「広く認識されている」という要件を満たす場合、地域団体商標の商標登録を受けることができる。ただし、普通名称、慣用商標は不可。

団体の要件を満たせばよいというわけではなく、広く認識されていることが必要です。

地域団体商標の具体例を見てみましょう。

地域団体商標の登録例:ありだ農業協同組合の「有田みかん」、豊橋筆振興協同組合の「豊橋筆」、田子町農業協同組合の「たっこにんにく」など

参考までに、逐条解説を見てみましょう。

逐条解説商標法 第七条の二:地域団体商標制度は、地域の産品等についての事業者の信用の維持を図り、地域ブランドの保護による我が国の産業競争力の強化と地域経済の活性化を目的として、いわゆる「地域ブランド」として用いられることが多い地域の名称及び商品(役務)の名称等からなる文字商標について、登録要件を緩和するものである。 地域団体商標は、登録要件が緩和されます。 一方、団体商標の方は、特に登録要件の緩和等はありません。

地域団体商標は登録要件が緩和される、というところもポイントです。

一方、団体商標には登録要件の緩和はありません。

弁理士が商標をわかりやすく解説-第17回まとめ:所定の要件を満たす団体は、その構成員が使用する商標について団体商標を取得することができます。全国的周知に至っていない「地域ブランド」であっても、地域団体商標により保護することができます。

知的財産とは(商標編)第17回は以上になります。

第18回は「防護標章」についてお話ししていきます。

(第17回 了)
IPdash東京 特許事務所

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