弁理士が商標をわかりやすく解説-第10回「その商標登録、ちょっと待った!(登録異議の申立て)」…商標登録の異議申立てについて、イラストでわかりやすく説明します。 (IPdash東京 特許事務所/弁理士 留場恒光)

商標編第10回です。
商標登録の異議申立てについて、イラストで分かりやすく説明します。

異議申立制度について解説します。商標登録出願ののち、審査において拒絶の理由がなければ登録査定となり、出願人が登録料を納付すれば商標登録となります。ここで、登録があったことを示す商標掲載公報(登録公報)というものが発行されますが、この発行の日から2カ月のあいだ、何人も異議申立人として商標登録を取り消すための異議申立てが可能です。変な商標が登録されては困るからです。

出願人が登録査定を受けて登録料を納付したあと、登録があったことを示す商標掲載公報(登録公報)が発行されます。

この公報の発行の日から2カ月のあいだ、何人も、商標登録に対する異議申立てが可能です。

自分に不利益が生じる商標登録がされては困るからです。

異議申立ての内容は特許庁で審理され、異議申立てが認容されると、その商標登録は取消しとなります。

商標権が消滅するという意味で、無効審判と似ています。

無効審判については次の回に解説しますが、異議申立てと無効審判の違いを簡単に比較してみましょう。

無効審判と異議申立ての比較です。無効審判は登録後いつでも請求可能です。むしろ、商標権の消滅後も請求が可能です。しかしながら、異議申立ては商標掲載公報発行の日から2カ月しか請求ができません。異議申立てが可能な期間は限られていますが、商標戦略(戦術)に大きく影響する制度と考えられます。

無効審判は登録後いつでも請求可能です。

一方、異議申立ては商標掲載公報発行の日から2カ月しか請求ができません。異議申立てが可能な期間は限られています。

なお、2カ月という請求期間は特許の異議申立て期間(6か月)よりも短い請求期間となっています。

参考までに、時期的要件以外も比較してみます。

無効審判と異議申立ての比較です。主体的要件:無効審判は利害関係人に限られるのに対し、異議申立ては何人も請求ができます。時期的要件:無効審判は商標権の存続期間中であれば(むしろ消滅後も)請求できるのに対し、異議申立ては商標掲載公報の発行の日から2カ月以内に限られます。趣旨:無効審判は過誤による商標登録、つまり本来権利として存在できないものに権利を認めるのは妥当ではない(当事者間の争いの解決)とあるのに対し、異議申立ては商標登録に対する信頼性向上であり、申立てがあった場合に特許庁が自ら登録処分の適否を審理し、瑕疵がある場合はその是正を図る、とあります。

主体的要件:無効審判は利害関係人に限られるのに対し、異議申立ては何人も請求ができます。

時期的要件:無効審判は商標権の存続期間中いつでも請求できるのに対し、異議申立ては商標掲載公報の発行の日から2カ月以内に限られます。

弁理士が商標をわかりやすく解説-第10回まとめ:異議申立て制度は、何人も商標登録に異議を申し立てることができる制度です。ただし、請求期間は限られています。

まとめです。
異議申立て制度は、何人も商標登録に異議を申し立てることができる制度です。
ただし、請求期間は限られています。

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知的財産とは(商標編)第10回は以上になります。

第11回では「審判Ⅰ(拒絶査定不服審判、商標登録無効審判)」についてお話ししていきます。

(第10回 了)
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