商標編第5回です。
商標登録の要件について、イラストで分かりやすく説明します。
上のスライドにもあるように、商標が商標登録の要件を満たさない場合、その商標登録出願は拒絶され、商標登録を受けることができません。
商標法第3条(第1項)
商標法第3条が求める要件は以下になります。
商標権者には商標の使用義務があります。
よって、商標を使用していない場合や使用する予定がない場合は、商標登録を受けることができません。
また、商標には自他商品識別力が求められます。
この自他商品識別力がない例を次に例示します。これらは商標登録ができません。
ここで、商標法第3条第1項第3号についてもう少し見ていきたいと思います。
商標法第3条第1項第3号
具体例を挙げていきます。
例えば、上記のような商標は商標登録できません。
これらの商標は、その商品の産地、原材料、効能等をそのまま表示するにすぎないからです。
☆ ☆ ☆
第3条第1項第3号の適用範囲は文字だけではありません。
チョコレートの形状、ブランデーの瓶(商品の包装)の形状も、容器として普通の形状であれば商標登録されません。
特に、上のスライドの右側を見ていただきたいのですが、一見 識別力がありそうに見えます。
しかしながら、装飾がなされたウイスキーや香水の瓶であっても、容器の形状の範疇を超えないのであれば、商標法第3条1項第3号で拒絶されます。
では、商標法第3条に該当すると常に商標登録はできないのでしょうか。
実は、商標法第3条第1項第3号から第5号(上記イラストの黄色背景)に該当する場合であっても、商標登録できる場合があります。
商標法第3条第2項
商標法第3条第2項の規定です。
商標法第3条第1項第3号から第5号に該当する商標であっても、全国的に周知となっている商標は、登録が受けられます。
実際に商標登録を受けた商標の具体例を見てみましょう。
同時に、商標登録を受けられなかった商標も見てみましょう。
ヤクルトの容器の形状、コカ・コーラの瓶の形状、そしてひよ子の形状のいずれも、商標法第3条第2項の適用を受けられるかどうかを裁判で争っています。
残念ながら「ひよ子」の立体的形状については全国的周知であるとは認められませんでした。
なお注意していただきたいのは、「ひよ子」という「文字」ではなくその「形状」です。
このお菓子の形状を見た時に、東京銘菓「ひよ子」であるとまでは(少なくとも全国的には)認識されないだろう、という判断です。
しかしいずれの日か、「ひよ子」の立体的形状について第3条第2項が適用されることもあるかと思います。
まとめです。
識別力のない商標は、商標登録されません。
しかし、商標が識別力を獲得している場合は、登録される場合があります(第3条第2項)。
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知的財産とは(商標編)第5回は以上になります。
第6回では「商標の不登録事由」についてお話ししていきます。
(第5回 了)
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