弁理士が商標をわかりやすく解説-第2回「用語の定義」商標法で使われる独特な用語について、イラストで分かりやすく説明します (IPdash東京 特許事務所/弁理士 留場恒光)

商標編第2回です。
商標法で用いられる用語について、イラストで分かりやすく説明します。

定義規定

商標法第2条には、以下のように記載されています。

第2条(定義等)
 この法律で「商標」とは、人の知覚によつて認識することができるもののうち、文字、図形、記号、立体的形状若しくは色彩又はこれらの結合、音その他政令で定めるもの(以下「標章」という。)であつて、次に掲げるものをいう。

一 業として商品を生産し、証明し、又は譲渡する者がその商品について使用をするもの

二 業として役務を提供し、又は証明する者がその役務について使用をするもの(前号に掲げるものを除く。)

このなかで、「標章」という言葉と、「商標」という言葉がでてきます。

端的に言うと、

です。

重要キーワード:「標章」人の知覚によつて認識することができるもののうち、文字、図形、記号、立体的形状若しくは色彩又はこれらの結合、音その他政令で定めるもの。「商標」標章であつて、次に掲げるものをいう。 一 業として商品を生産し、証明し、又は譲渡する者がその商品について使用をするもの 二 業として役務を提供し、又は証明する者がその役務について使用をするもの(前号に掲げるものを除く。)

まず文字、図形、記号、またはこれらの結合について例示します。

商標の具体例です。まずは文字(標準文字)やロゴに係る商標です。出願の多くはこのような商標です。「日本弁理士会」という標準文字(商標登録第4637065号)、「PayPay」という文字からなるロゴ(商標登録第6249628号)、図形の組み合わせともいえるトヨタ自動車のロゴ(商標登録第4039298号)、「BOSS」のイラスト(商標登録第6574761号)などです。

「日本弁理士会」のような文字だけの商標や、「PayPay」のように文字からなるロゴの商標、

またトヨタ自動車のロゴのように、図形の組み合わせの商標、そしてイラストなども商標登録ができます。

次に立体的形状を含む商標などについて見ていきます。

立体商標と位置商標の例です。立体商標の例として、カーネルサンダースおじさんの像を挙げました(商標登録第4153602号)。この像があると、ケンタッキー・フライドチキンの店舗であることがすぐわかります。位置商標の例としてEDWINのズボンに付されるタグを挙げました(商標登録第5807881号)。ズボンのポケットのこの位置に商標が付されるということを権利化しています。

上記文字やロゴの商標のほか、「立体商標」や「位置商標」というものがあります。

「立体商標」は例えば、上記のカーネルサンダース像のようなものです。

上記の像を見ると、「あ、ケンタッキー・フライドチキンだな。」とすぐに分かるのではないでしょうか。

「位置商標」の例として「EDWIN」のズボンの例を取り上げました。

ズボンのポケットに「EDWIN」のタグが付されており、この位置にこのような商標を付する、という形で権利化されています。

引き続き特徴的な商標についてお話しします。

色彩のみからなる商標と音商標の例です。色彩のみからなる商標の例として、セブンイレブンの色彩を挙げました(商標登録第5933289号)。また、音商標の例として、「ブルーレットおくだけ」の商標を挙げました(商標登録第5804301号)。このような商標も権利化できます。

色彩のみからなる商標と、音商標です。

色彩のみからなる商標(左側)はどこの商標かすぐわかるのではないでしょうか。

そうです。

セブンイレブンで使われている商標です。

色を見ただけでわかるということは、それだけこの商標に識別力があるということです。

音商標はその音が分かる形で出願します。

以下をご参照ください。

(音商標)登録第5804301号

(新しいタブで開きます。音声再生をクリックすると、音商標の音声が流れます。)

ホログラム商標の例です(商標登録第5908592号)。JCBのクレジットカードに付される模様です。ホログラムの変化を複数の図面で示します。

ホログラムの商標と言うものもあります。

一出願一商標の原則から、通常商標は一図で表します。

しかし、ホログラムなど、色調などが変化するものは表現し切れません。

よって上記の様に、複数の図面を用いてその色彩等が変化することを示します。

動き商標の例その1です(商標登録第5804301号)。映像の変化などを複数の写真で示します。

最後は動き商標です。

その名の通り、動きのある表示も商標権で保護できます。

アニメーションを複数の図面で表現しています。

動き商標の例その2です(商標登録第5804305号)。映像の変化などを複数の写真で示します。

こちらも動き商標です。

上記同様、アニメーションを複数の画像で表現しています。

弁理士が商標をわかりやすく解説-第2回まとめ:文字・ロゴに限らず、立体的形状、色彩、音など、さまざまな商標が保護対象となっています。

まとめです。

識別力のある文字やロゴに限らず、立体的形状や位置、色彩、音、動きなどが商標法の保護対象になっています。

知的財産とは(商標編)第2回は以上になります。

第3回では「商標登録までの流れ(出願フロー)」についてお話ししていきます。

(第2回 了)
IPdash東京 特許事務所

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