弁理士が地理的表示(GI)をわかりやすく解説-第6回「取締りと罰則」…地理的表示の不正使用等に関する取締りと罰則について、イラストでわかりやすく説明します。(IPdash東京 特許事務所/弁理士 留場恒光)

地理的表示編第6回です。
GIの不正使用等に対する取締りと罰則についてイラストで分かりやすく説明します。

取締りの概要:地理的表示(GI)の不正使用は取締りの対象です。 一方、第三者の使用に限らず、登録を受けた団体の不適当な管理や、団体の生産業者の不正使用も取締りの対象です。また、GIマークの不正使用も取締りの対象です。

イラストにあるように、GIの不正使用は取締りの対象です。
後述する措置命令や罰則等が課されます。

またこれに限らず、GI登録を受けている正当権利者であっても、不適当な管理を行った場合は取締りの対象です。
措置命令のほか、GI登録の抹消もあり得ます。

以下は取締りに関する条文です。
条文のスライドは読み流してください。

措置命令や罰則に関する条文(抜粋):第3条(地理的表示)第1項 登録に係る特定農林水産物等を譲渡等する者は、当該特定農林水産物等又は包装等に地理的表示を使用することができる。第2項 前項の規定による場合を除き、何人も、登録に係る特定農林水産物等が属する区分に属する農林水産物等…に当該特定農林水産物等に係る地理的表示又は類似等表示を使用してはならない。第5条(措置命令)農林水産大臣は、次の各号に掲げる規定に違反した者に対し、当該各号に定める措置その他の必要な措置をとるべきことを命ずることができる。 一 第三条第二項 地理的表示又は類似等表示の除去又は抹消 第39条 第五条(第一号に係る部分に限る。)の規定による命令に違反した者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。 第43条 法人の代表者等が、その法人又は人の業務に関して、次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人に対して当該各号に定める罰金刑を、その人に対して各本条の罰金刑を科する。 一 第三十九条 三億円以下の罰金刑

この関係性をイラストにすると以下のようになります。

措置命令や罰則に関する条文とその関係性をイラストで示すとこのようになります。第3条第1項:政党権利者はGI使用可能。第3条第2項:GI登録の非正当権利者はGI(類似含む)の使用が不可能。第5条第1項:非正当権利者が違反して使用した場合、農林水産大臣はGI除去命令を発する。第39条/第43条第1項第1号:命令違反の場合、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金(併科あり)/法人は3億円以下の罰金

GIの正当権利者はGIを使用することができます(地理的表示法第3条第1項)。

一方、それ以外の者はGIを使用することができません(第3条第2項)。

もし違反して使用した場合は、農林水産大臣からGIの除去命令が発せられます(第5条第1項)。

この命令に違反すると、懲役や罰金などの罰則があります(第39条、第43条第1項第1号)。

弁理士が地理的表示(GI)をわかりやすく解説-第6回まとめ:地理的表示(GI)の不正使用は取締りの対象であり、場合によっては罰金や懲役が科されます。登録を受けた団体であっても、不適当な管理等を行った場合は取締りの対象であり、場合によってはGI登録の取消しがなされます。

まとめです。
地理的表示(GI)の不正使用は取締りの対象であり、場合によっては罰金や懲役が科されます。

登録を受けた団体であっても、不適当な管理等を行った場合は取締りの対象であり、場合によってはGI登録の取消しがなされます。

知的財産とは(地理的表示編)第6回は以上になります。

第7回では「外国との相互保護」についてお話ししていきます。

(第6回 了)
IPdash東京 特許事務所

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