地理的表示編第4回です。
GIの登録要件について、イラストで分かりやすく説明します。
特に特定農林水産物等の「特性」について、具体例と共に詳細にご説明します。
まず、地理的表示法(特定農林水産物等の名称の保護に関する法律)の登録要件に関する条文をざっくりと紹介します。
生産者団体、生産工程管理業務規程、そして登録の申請に関する農林水産物等とその名称について、要件が定められています。
以下ではこの第3号の「特定農林水産物等」の要件について見ていきます。
「特定農林水産物等」とは以下のようなものでした。
以下、第2条第2項第2号(赤字部分)について見ていきます。
ここで、地理的表示における「特性」とは以下のようなものでした。
地理的表示法第2条第2項第2号の「品質、社会的評価その他の確立した特性が前号の生産地に主として帰せられるものであること。」とは、以下のアおよびイを満たすものです。
ア、イについてそれぞれ見ていきましょう。
まずアです。
以下の部分はざっと読み流していただければ結構です。
要は、地域ならではのものがたりを矛盾なく合理的に説明できること、とあります。
具体例を以下に示します。
最初の青字部分、「生産地が比較的温暖な火山灰土壌となっており、この自然的条件により、他の地域と比較して高い糖度の果実が生産できる場合」などは、科学的な根拠が明確です。
ただし、このような内容に限りません。
例えば、下の方の青地部分にあるように、「宿場町として栄えていた地域において生産され、旅人に提供されていた菓子が名物となり、地域の特産品として需要者に認識されている場合」なども、
『特性が生産地に主として帰せられるものである』といえます。
つづいてイです。
下記スライドはざっと読み流していただいて結構です。
上記スライドの中で、赤字部分の(ウ)が特徴的です。
アの特性を維持した状態で、概ね25年生産された実績がある、という要件があります。
一方、ただし書きにあるように、この25年の期間は短縮される場合もあります。
まとめです。
農林水産物等が登録要件を満たすかどうかは、
・特性について、地域ならではの「ものがたり」を矛盾なく合理的に説明できるかどうか
・具現化した客観的な特性を維持した状態で、概ね25年(短縮可)の生産実績があるかどうか
などにより判断します。
ここでは主に特定農林水産物等の「特性」の要件について見てきました。
知的財産とは(地理的表示編)第4回は以上になります。
第5回では「公示と申請書等」についてお話ししていきます。
(第4回 了)
IPdash東京 特許事務所
(第5回へ)
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